稀勢の里

稀勢の里、場所後の笑顔!進退場所で復活を果たせた理由は?激闘の15日間を振り返る!

横綱・稀勢の里は左大胸筋などの怪我などで、8場所連続休場ののち、平成30年9月に進退をかけて場所に臨みました。

結果、二桁の勝利を上げ、見事進退場所での復活の合格ラインをクリアしました!

この場所に臨んだ稀勢の里の胸中は、いかばかりのものだったのでしょうか?

場所前から場所中、そして苦境を乗り越えた場所後と、稀勢の里がどのような思いで過ごしていたのか?を、お話ししていきたいと思います!

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稀勢の里、場所後の笑顔!進退場所で復活を果たせた理由は?

 

とりあえず、場所を終えてのこの柔らかな笑顔。

場所を終えた稀勢の里に、話しを聞きました。

大変な一場所をようやく乗り越え、さぞかしの安堵の気持ちかと思いきや、特別にホッとしてる様子でもなく、かといって熱いわけでもなく、とにかく普段と同じといった様子には、こちらが拍子抜けするほどでした。

私などの素人考えでは、このような、人生をかけるような場所を乗り越えてきたのだから、さぞかし感動していたり、はたまた疲れ切っていたりするのでは無いかと勝手に想像していたのですが、本当に笑ってしまうほど心身共に普通~のテンションでした。笑

しかし、今思えばこの普通~のテンションは、「場所前からそうだった」と思うのです。

 

場所の初日前日、言葉を交わした時も、思い起こせばこんな普通~の雰囲気だったんですよね。

「緊張してないの?」

「してもしょうがないよ。やるべきことをやるだけだし、やってきたことしか出来ないしね」

 

こんな進退のかかる場所を前にして、稀勢の里は淡々としていて、むしろこちらの方がハラハラ、ドキドキ高まっていたくらいでした。

やはり大怪我から8場所という長い休場の時間を経験して、自らをコントロールする術を体得したのだなと感じさせられました。

稀勢の里が進退のかかる場所を乗り越えることが出来たのは、もちろん肉体的には怪我の回復が進んだことや、日々の地道なトレーニングや稽古を重ね、筋力やバランスが戻ってきたことが大きいと思うのです。

休場中、稽古が出来ない時も、場所中は誰もいなくなった午前中の稽古場に1人降りて、黙々と四股、すり足を繰り返し、日中もトレーニングをコツコツとこなし、夜はウォーキングも続けていました。

その日常の地道な努力の積み重ねに裏打ちされ、精神的には「やるべきことをやるだけ」という平常心の域に到達できるところまで持ってくることが出来たのではないか?と思うのです。

 

初日を白星発進したあと、

「久しぶりに見た横綱土俵入り、感動しました!」

と、ジーンと熱くなった気持ちを伝えると、

「何で?上手くなってたから?笑」

という返答。笑

こんな冗談も出るくらいなら、この場所を必ず乗り越えてくれると思ったのでした。

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稀勢の里の9月場所、激闘15日間を振り返る!

 

15日間を通して、稀勢の里から一番良く聞いたのは、「やるべきことをやるだけ」という言葉でした。

これは前述の通り、場所前から築き上げてきた「平常心」を自分の中でも反復していたものだと思われました。

次に多く発せられていた言葉は何だと思いますか?

それは、「相撲はテレビで見てるより、取る方が楽しいね」でした。

場所前からマスコミは、「進退、進退」と騒ぎ立てていましたが、稀勢の里は、まずもって出場出来ること、相撲が取れることの喜びの方が不安よりもはるかに大きかったのだと思います。

稀勢の里にとっては、休場と言うのはそれほどまでに辛いものだったのでしょうね。

稀勢の里の復活場所での二桁勝利は嬉しいことでしたが、15日間怪我無く、皆勤してくれたこと、土俵にいてくれたことが何より嬉しいことでしたね。

そんな15日間を、序盤、中盤、終盤に分けてゆるりと振り返って行きたいと思います。

 

序盤戦(初日~5日目)を全勝で乗り越えた!

 

9月場所の初日を迎え、何が驚いたって、国技館のお客さんの稀勢の里へ向けた大きく温かい声援の凄さ!

正直ここまでとは思わなかったほど、凄いものでした。

初日の対戦相手は勢。

土俵に上がると同時に、もう優勝決定戦のような轟音が館内を包みました。

相撲ファンの多くの人が稀勢の里の復帰を待ってくれていたんだなぁ~と、本当に胸が熱くなりました。

対戦成績は大きくリードしている相手とはいえ、3場所全休振りの久しぶりの初日の土俵。

しかも怪我を負って以降は、出場した場所すべて初日は負けているので、とにもかくにも初日は鬼門でした。

勢とはケンカ四つということもありますし、強烈な小手投げもある手強い相手です。

時間いっぱいから低い立ち合いで左を差し込むと、一気に西土俵下まで走り、寄り切りで白星のスタートとなりました!

勝った瞬間の館内の大声援のすざまじさは、スポーツの一場面として、きっと一生忘れないと思うほどでした。

稀勢の里は勝ち名乗りを受け、土俵下に降りると、フーッとひとつ息を吐き、目を閉じていた姿が印象的でした。

その姿はやはり長く重い重圧から、とりあえず解き放たれた瞬間だったのだと思います。

印象的だったのは、稀勢の里が勝ち残りで東土俵下に座り、次の取組で白鵬が勝ち勝ち残りで西土俵下に座った時、白鵬が東方の稀勢の里に向かって、一瞬小さくうなずいたんですね。

休場明けの初日の重圧を乗り越えた稀勢の里に対して、きっと横綱にしかわからない、白鵬からの「よくやった」というエールだったのかなと思いました。

初日の取組を終えた稀勢の里は、「特に気負いも無かった。館内の声援は嬉しかった」と話していました。

 

この調子で15日間書いていったら終わらないですね。笑

少しアップテンポでいきましょう!笑

 

前半戦5番は初日を除けば、「逆転勝ち」「辛抱勝ち」の相撲が多かったですよね。

出場しているのを見ているだけでも心臓に悪いのに、もう序盤の相撲のハラハラ、ドキドキには身が持たない~と思うほどでしたよ。笑

2日目の貴景勝戦、3日目の豊山戦、4日目の魁聖戦、5日目の正代戦すべて、辛抱と執念でもぎ取ったような白星でした。

立ち合い当たり勝ちしていた相撲が多かったので、攻め込まれているように見えても実のところ勝ち急がず、勝機が来るまで辛抱するスタイルだったように思います。

ま、2日目、3日目はホントに執念実っての逆転勝ちでしたが。笑

稀勢の里自身はこの序盤の相撲を、逆に「体が反応している」とプラスに受け止めていたようでした。

とにかく、横綱の進退のかかる場所は、初日、2日目に黒星が続けばそのまま引退という例は過去には何度もあったので、この序盤の5連勝は復活に向け大きなスタートになったわけです!

 

中盤戦(6日目~10日目)立ち合いのミスで2つの黒星も、10日目に勝ち越し!

 

中盤戦最初の6日目、千代大龍戦は立ち合い待ったが2度。

やや集中力を失ったためか立ち合いが少し高く、攻め込みながらもいなしを食って初の黒星を喫しました。

立ち合いの感覚というのは、まさに稽古場と本場所で一番違うところでもあるので、相撲勘を取り戻せているかの不安要素でもあったので、正直少し心配な気もしました。

7日目の千代の国戦も激しい突き押しの猛攻に防戦のように見えましたが、実のところ、よく相手を見て裁いたという感じの相撲で、最後の土俵際も相手の足が出たのを確認した後は、その後にもらった投げもきれいな受け身で力を逃がして転がっていましたね。

こういう相撲勘を本場所で徐々に取り戻していくことはとても大事で、本場所の土俵が稽古になっていっているようでした。

8日目の玉鷲戦は、再びの立ち合いの待ったからのミスでしたね。

「待った」というのは見ている方は、単に呼吸が合わなかっただけと思ってしまいがちなのですが、立ち上がってしまった後の待ったは、相手が立ち合い何をしてこようとしていたかがわかってしまうので、そこからの作戦や気持ちの立て直しは、想像している以上に大変なんです。

玉鷲のいいところが全部出た会心の相撲を取られて、防戦一方でいいところなく敗れてしまいました。

2敗目を喫したことで落ち込んでいないか心配でしたが、「もう切り替えた!」と早くも翌日に気持ちを持って行っていましたね。

9日目、ついに初めての大関戦となった栃ノ心戦は相手の右差しを許さず、左四つに組み勝ち、右の上手を取ると一気に寄り立て白星を飾りました。

栃ノ心は稀勢の里が休場している間に優勝もして大関にも昇進した実力者ですので、この勝利は大きな自信になったでしょうね。

翌10日目、7勝2敗で迎えた遠藤戦は、勝ち越しがかかる一番になりました。

立ち合いの手つきが不十分ということで、行司から止められること3度。

これでは、力士は集中力が途切れてしまって、戦闘態勢を取り戻すのが本当に大変だったと思います。

4度目の立ち合いは稀勢の里が張り差しで左四つに仕留めると、一気の出足で寄り切り。

遠藤は完全に立合いへの集中力が切れてしまった感じで気の毒でした。

これで稀勢の里は勝ち越しを決めました!

「おめでとう!」と声をかけると、「何が~?まだ勝ち越してないよ」と。笑

そうなんです。

稀勢の里は大関昇進した時から、勝ち越しは10勝と決めて場所に臨んでいるので、この時は、本人的には「まだ勝ち越していない!」という気持ちをしっかり持って、二桁勝利を見据えていたのだと思います。

 

終盤戦(11日目~千秋楽)久しぶりの上位戦!二桁勝利を収める!

 

この時点でトップと2差で、2敗の稀勢の里はまだ優勝をあきらめてはいませんでした。

しかし、11日目の逸ノ城戦、またしても立ち合いの呼吸がうまく図れず防戦一方いいところ無く敗れてしまいました。

取組後は土俵下で今まで見たことも無いような悔しい表情を見せ感情を押し殺している様子でしたね。

本場所での立ち合いの相撲勘というのは、やはり本場所でしか修正できるものではないので、これに関しては「いい課題ができた」と前向きにとらえていました。

12日目は7月場所で初優勝を遂げ、大関取りを目指している伸び盛りの新鋭、御嶽海との対戦。

自分が休場している間に、一気に力を付けた力士のひとりなので、稀勢の里がどのあたりまで力を戻しているのかを見るには、最高の対戦相手でした。

夏巡業でも稽古相手に指名して、調整をしてきました。

御嶽海も右の浅い上手を取り頭を付けるという、自分の出来うる最善の策を講じてきましたが、左の差し手が入っていれば、やはり最終的には稀勢の里の相撲に持ち込む形となり、危なげなしで白星となりました。

稀勢の里は「あーー!」っと思うようなポカ負けをするかと思うと、新進気鋭の猛攻をあっさりと退ける…

ずっとそうやってファンは気持ちを上げられたり下げられたり、稀勢の里に振り回されてしまうんですよね。笑

やはり魔性の稀勢の里は健在だったと。笑

ここまで、大怪我を負った左大胸筋の怪我の後遺症をほとんど感じさせないほど、左手が使えていることに何よりも安心してきました。

この日も、左の腕をバッと返して寄っていきましたから、左手側の筋力が戻っている証拠ですね。

いよいよ13日目、横綱同士としてはまだ対戦が無かった、白鵬と組まれました。

白鵬は稀勢の里の休場中も、出稽古に出ていた稀勢の里を追いかけ稽古をしてくれたり、巡業先の稽古場でも土俵下から声をかけてくれたりと、復活に際し、色々と気にかけてくれていた横綱でした。

過去にさまざまな名勝負を繰り広げてきた2人の60回目の対戦は、立ち合いの白鵬の速さ、巧さの前に、力を出せず敗れてしまいましたが、「久しぶりに気持ち良かった」と、横綱対戦の土俵まで戻って来られたことは、やはり嬉しい様子でした。

しかし、「来場所こそは」とすでに前を向いていた姿も印象的でしたよ。

14日目は引き続きの横綱戦、鶴竜との対戦となりました。

鶴竜とは、夏巡業の時にほぼ毎日取組が組まれていたのですが、その取組がとても力の入った相撲が多かったんですね。

巡業での取組は、まだ力士は体も出来上がっていない状態ですから、怪我をしてしまうと大変ですので本場所同様の相撲を取ることは、ほとんど無いのですが、この稀勢の里と鶴竜戦は本場所さながらの取組ばかりでした。

長く本場所の土俵から離れていた稀勢の里は、本場所のような相撲勘を取り戻す相撲を取りたいと思っていたのですが、鶴竜がそれに応えてくれて全力で取り組みに臨んでくれたように思うのです。

鶴竜はあまり自分の気持ちを自らアピールするようなタイプの人ではないつつましい横綱なのですが、この巡業での本気の取組は、稀勢の里へのエールだったんだろうなと思いましたね。

鶴竜はそういう人なんですよね。

本場所では左四つ、稀勢の里のペースで相撲が進み、鶴竜が稀勢の里の左下手を切りに来たところで左の腕を返し、鶴竜の右上手を切ると、一気に寄り切りました。

横綱戦に勝利し、これで進退問題を吹き飛ばせる10勝目、二桁勝利を上げることができました。

千秋楽は豪栄道戦、立ち合いの豪栄道の右からの強烈なおっつけに左を差せず、バランスを崩して転がされてしまいました。

二桁勝利後も集中力は途切れた様子はありませんでしたが、豪栄道は優勝争いをしていたほどでしたから、今場所の力の差が出た一番となった感じでしたね。

これで長かった15日間の激闘の幕は閉じたのです。

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稀勢の里、進退場所を終えて思ったことは?来場所の優勝を誓う!

 

8場所連続休場から臨んだ進退をかけた9月場所は、二桁勝利で何とか横綱としての合格点を横綱審議委員会からも貰うことが出来ました。

この場所を通じて稀勢の里は何を感じ続けたのでしょうか?

「まだまだたくさん課題も見つかったし、野球の野村監督が、『勝ちに理由なし、負けに理由あり』って言ってたけど、今場所15日間相撲取って、いや、『勝ちに理由あり、負けに理由あり』…、うん、どっちもやっぱり理由があると思ったよ」

と話していました。

場所前から心がけていた「平常心」で臨んだ相撲の先に、何か新しい発見があったのかもしれませんね。

「来場所(11月)は、優勝を目指してまた稽古頑張りますよ!」

と力強く話していました。

横綱というのはその責任を全うできない時は辞めなくてはいけないという大変な地位です。

どん底まで落ちても、また這い上がって輝く姿を見せてくれることは、多くのファンに「あきらめない気持ち」や「勇気」を贈ってくれるのだと思います。

稀勢の里の横綱としての人生は、まだ第二幕の幕が上がったばかりです。

 

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