相撲観戦

【平成30年11月場所】小結・貴景勝が初優勝!今場所を振り返る!

一年納めの九州場所は、白鵬、鶴竜の2横綱の休場で幕を開けましたが、上位陣が次々と怪我で離脱していく中、終始迷いの無い自分の相撲を取りきった貴景勝が優勝をもぎ取りました!

どんな場所だったのか?九州場所を振り返ってみたいと思います!

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見事な初優勝!自分の相撲を貫き通した貴景勝!

 

貴景勝は新鋭の実力者であることは誰もが認めるところでしたが、正直、今場所前に貴景勝が優勝までの快挙を成し遂げることを想像していた人は、多くはなかったのではないでしょうか?

身長175㎝、体重170㎏の丸い体でところ狭しと土俵の中を動きまわり、次々と白星を重ね、ついに賜杯を胸に抱きました!

今場所の貴景勝の良さは、立ち合いからの迷いの無い当たりの強さはもちろんなのですが、その後の押し合い、突き合いの中で繰り出す、「いなし」の巧さに目が留まりました。

押し合いの中でパッと一瞬体が離れた後、相手が逆襲とばかりに意気込んで反撃に飛び出してくるところを、冷静にいなして勝ちをもぎとっていた相撲が何番も見られました。

あの激しい押し合いの中で、とにかく「良く相手を見ている」という冷静な印象でした。

もちろん、低く重い立ち合いの当たりから、巨漢の逸ノ城や碧山などに対しても、下から下からいいハズ押しで押し上げ、押し切ってしまうという相撲は目を見張りました。

貴景勝の相撲は押しのひとつひとつに無駄が無いというか、自分の身長の低さを最大限の武器として使っている、押しの見本の様な相撲でしたね。

22才3ヶ月での優勝は年6場所制となって以降、6位という若さ。

初土俵から26場所での優勝も年6場所制となって以降、横綱・曙と並ぶ4位の早さとなりました。

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横綱不在場所に、上位陣で1人気を吐いた大関・髙安!

 

今場所は横綱の白鵬と鶴竜が初日から休場することとなり、稀勢の里の一人横綱としてスタートとなりました。

しかし、稀勢の里は初日の貴景勝戦で敗れ、この取組で右膝捻挫の負傷を負い、その後、妙義龍、北勝富士、栃煌山と敗れ4連敗で休場となり、5日目から横綱不在の場所となりました。

稀勢の里は場所前から優勝宣言も出るほど体調や稽古の仕上がり具合も良かったので、初日の怪我は想定外で無念だったと思います。

貴景勝と千秋楽まで優勝を争ったのは、大関の髙安でした。

場所前はあまり調子が良い感じでは無かったのですが、7日目まで5勝2敗と、1敗で前を行く貴景勝を他の2敗勢と追いかける形となりました。

その後、阿武咲や碧山などの2敗勢が脱落していく中で、13日目まで白星を重ね、14日目に貴景勝と直接対決。

立ち合いの貴景勝の当たりを受け後退し、体が崩れ半身になりましたが、貴景勝からすると少し髙安との距離が開きすぎた間合いとなり、上手く押しが当たらず、辛くも体をかわした髙安に軍配が上がりました。

14日目についに貴景勝と相星となった髙安でしたが、千秋楽の御嶽海戦では土俵際上手を取りきれないままに勝ち急ぎ寄って出たところを、御嶽海に体を開かれ掬い投げで敗れてしまい、初優勝の夢は断たれてしまいました。

しかしながら横綱不在、豪栄道も途中休場、栃ノ心も不振の中、上位陣でただひとり貴景勝を追いかけ、場所を盛り上げてくれました。

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ベテランの復活!いい相撲が多かった九州勢!伸び悩んだ若手!

 

今場所は番付の上位に戻って来たベテランが活躍を見せた場所でもありました。

妙義龍は2日目に稀勢の里から金星を上げると、大関取りをかけていた新鋭の御嶽海も破り千秋楽に見事に勝越し、来場所の三役復帰が見えてきました。

栃煌山も久しぶりの上位での土俵となりましたが、初日から5連勝といいスタートを切り、場所中盤には星を落としましたが勝ち越し。

妙義龍も栃煌山もしばらく怪我で番付を下げていただけですので、今場所は本来の実力を発揮した場所ということになりました。

初めての上位挑戦の場所となった錦木も跳ね返されることなく勝ち越しを決め、千秋楽では貴景勝の対戦相手としても注目を集めました。

相手の腕を抱えて振り回すような怪力ぶりを感じさせる小手投げは、今後も武器になっていくのではないでしょうか?

優勝争いに終盤まで食い込んでいたのは、碧山隠岐の海でしたが、ともに本来の実力からしたら、番付を落としていたので、11勝という成績は当然と言えば当然の気もします。

特に初日の2連敗の後、「稽古をしているんだから自信を持って!」という師匠の言葉に発奮し、そこから9連勝した碧山の相撲は以前の馬力が戻っていて見事でした。

貴景勝と子供時代からのライバルで親友でもある阿武咲も膝の怪我がだいぶ良くなってきたようで、貴景勝と共に敢闘賞を受賞しました。

前に出る圧力が素晴らしいのですが、引いてしまう癖が黒星を呼び込んでしまった取組が何番かあったのが残念でした。

番付を上位に戻してくる来場所、今回の貴景勝の優勝で一番刺激を受けたのは阿武咲ではないかと思うので、活躍が期待できますね!

今場所は地元福岡出身の松鳳山琴奨菊の活躍も目立ちましたね。

ともに10勝の成績でしたが、この2人の対戦は記憶に残るほどの死闘でした。松鳳山に軍配が上がりましたが、攻守がくるくると入れ替わる激しい相撲で、今場所のベスト3に入る好取組だったと思います。

特に松鳳山は他にも激しい魂のこもったいい相撲が多かった印象がありますね!

逆に注目していた若手力士で残念だったのが朝乃山豊山隆の勝でしょうか。

朝乃山と豊山は今や「あさゆたコンビ」として注目を集めるほど人気実力ともにある力士なのですが、今場所は朝乃山は6勝、豊山は5勝止まりと、まったく成績が振るいませんでした。

特に豊山は今場所は上位との対戦も無かった中でのこの星は、やはり腰が高く突き押しの威力が相手に伝わっていないような相撲が目立ちました。

もうひとり、期待を大きくはずした力士は隆の勝です。

今場所は初日から叩かれると前にバッタリと落ちてしまう相撲が目立ち、結局立て直せないまま4勝11敗という思わぬ大敗を喫してしまいました。

私個人的には、隆の勝はすでに幕内中位くらいの力はついていると感じていた力士でしたが、攻めている時の体の硬さが少し気になりました。

気負いもあり、相撲に力みがでてしまったことで、つっかえ棒を外されるように叩きに落ちてしまっていたように感じます。

誰でも壁にぶつかりながら大きくなっていくと思うので、今後、特にこの3力士の奮起を期待したいと思います!

 

横綱不在の場所で、盛り上がりがどうなるか一時不安もありましたが、結局は貴景勝に始まり、貴景勝に終わったような、ニュースターの誕生の場所となりました!

今年は、初優勝を飾った力士が1月の栃ノ心、7月の御嶽海、11月の貴景勝と3人もいて、新しい風が吹き始めた予兆の一年でもありました。

さて、来年はどのような一年になるのでしょうか?

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