本場所の取組で休場者が出ると、その日の組まれていた取組の相手力士は、不戦勝ということになります。
休場した力士が横綱だった時、その不戦勝は金星というのでしょうか?
また、その取組にかかる予定だった懸賞金はどうなってしまうんでしょうか?
平成30年7月場所では、平幕の千代の国の横綱戦の不戦勝にまつわる珍事がありました。
さて、それはどんなことだったんでしょうか?
今回は、そんなお話をしていきたいと思います!
横綱に不戦勝で勝ったら金星になるの?
横綱戦は取組の中でも、注目される好カードですから、対戦する力士にとってもとても気合の入る一番になります!
しかし残念ながら、横綱も途中休場することがありますので、そうなると当然のことながら、その取組は無くなってしまいますね。
それは対戦予定だった力士も、ファンにとっても残念なことですね!
平幕力士が横綱に勝つと金星になる!
そもそも金星というのがどういうものなのか?というのをご説明すると、平幕力士が横綱に勝った時の白星のことなんですね。
金星をあげる!というのは、名誉(記録)だけでなく、収入(報奨金)も増えるという、平幕力士にとっては、とても嬉しいものなんです!
ひとつ、よく勘違いされているのですが、三役(小結・関脇)の力士は、横綱に勝っても、金星にはならないんですよ。
もちろん、大関が勝った時も同じでです。
↓金星を取った時に収入が増える詳しいお話はこちら!
力士は給料をどこから貰っているの?金星取ったら収入が増えるって本当?
平幕力士が横綱に不戦勝だった時は金星になるの?千代の国の珍事とは?
対戦する予定だった横綱が休場して不戦勝になった時は、金星にはなりません!
もちろん、記録としても残りません。
ちなみに、横綱に反則があって反則勝ちの場合も金星にはなりません。
平成30年7月場所に、横綱との不戦勝で珍事があったんです!
平幕の千代の国が、4日目に対戦予定だった横綱・白鵬の休場により不戦勝となりました。
その後、6日目にも対戦予定の横綱・鶴竜が休場し再びの不戦勝となりました。
なんと、横綱戦を一場所2回の不戦勝ということになったのです!
この珍事は、大相撲の15日制が定着した昭和24年(1994)夏場所以降、平成11年(1999)9月場所に玉春日が、横綱の貴乃花と曙から不戦勝をあげて以来の出来事でした!
ちなみに千代の国は前年(平成29年)の11月場所の10日目にも、横綱・稀勢の里戦が組まれており、この時も、稀勢の里が休場したため不戦勝となっているんです。
千代の国は平成30年に入ってからは、横綱戦が組まれたのが7月場所が初めてだったため、これで、組まれた横綱戦は3番連続で不戦勝という大珍事になったわけですね!
千代の国は鶴竜戦で不戦勝が決まったあと、「複雑な気持ち」と話していました。
不戦勝というのは、相手力士の休場によって、戦わずして白星を得るわけですから、力士はさぞかし嬉しいものだと思うのですが、聞いてみると、意外な言葉が多いんですよ。
それはやはり、勝敗に関係なく「横綱との対戦をやってみたかった!」という力士が多いんですね。
それがもし、結びの一番だったりしたなら、「力士になって始めて一番最後で相撲を取ることが夢だったのに残念!」という声もあるんです。
後は、横綱戦でなくても不戦勝に対しては、
「休みを挟むと15日間のリズムが狂うからイヤ」
「体を休ませたくない」
という力士もいたりして、不戦勝の日も、仕度部屋ではいつもと同じように準備運動をしたりして、勝ち名乗りを受けに行く力士も多いんですよ!
後はやっぱり何と言っても、横綱戦は金星獲得のチャンスだったわけですから、戦いたかった!というのも本音でしょうね!
不戦勝の時はかかっていた懸賞金はどうなるの?
取組にかかっていた懸賞金は、その取組が無くなると、不戦勝の力士に渡されることはありません!
これは、横綱戦に限らず、どの取組でも同じです。
かかっていた懸賞は、相撲協会が懸賞をかけていた各スポンサーに連絡をして、その懸賞を「取り下げる」か「他の取組に回すか」を確認するんです。
なので、その懸賞はスポンサーの意思によって、行き先が変わるということになるんです!
50本くらいかかっていた取組が不戦になったりすると、相撲協会も対応が大変です!
大きな懸賞が取り崩された時は、他の取組にいきなり10本懸賞が流れたりすることがあるわけで、他の取組の力士は、思わぬ恩恵にあずかるということもあったりするんですね!
ちなみに、先ほど反則勝ちの時は金星にはならないとお話ししましたが、反則勝ちの場合は懸賞金はもらうことはできるんですよ!
↓懸賞金獲得に関する詳しいお話はこちら!
大相撲の懸賞金の金額は1本いくらなの?獲得ランキング1位は誰?
まとめ
力士は横綱戦ということに対しては、特別な気持ちを持っているものなんですね!
素人考えだと、横綱戦を戦わずしての白星はラッキーなんじゃないか?と思ってしまいますが、あまりそういうことを口にする力士はいないですね。
戦いたかった!勝って金星をあげてみたかった!という気持ちや、また、休場した相手の怪我や気持ちをおもんばかって、たとえ白星が嬉しくとも、そういう表現はしないというのも、力士のつつましさだと思います。
横綱に不戦勝で勝っても金星にはなりませんし、懸賞金も無くなってしまいます。
やっぱり勝負師は、戦いたかった!というのが一番の気持ちなんでしょうね!
あ、千代の国関は、今度の横綱戦は是非とも相撲が取れますように!笑