相撲豆知識

大相撲の千秋楽の取組で勝った力士が「矢」をもらう意味は何?

大相撲の千秋楽の取組を見ていると不思議な光景があります。

最後の三番の取組の前に3人一緒に力士が土俵に上がって四股を踏む儀式があったり、勝った力士が勝ち名乗りを受けるときに、懸賞金と一緒に「矢」を受け取っていたり…

皆さんは見たことがありますか?

あの「矢」は何なのでしょうか?

今回は千秋楽だけに行われる、後ろ三番の取組の時の、独特な儀式についてお話していきますね!

スポンサードリンク

千秋楽の最後の三番の勝ち力士には「矢」「弦」「弓」が渡されている!

千秋楽に相撲を見ている時に、「あの渡されている矢って何?」って、思ったことありませんでしたか?

皆さんは見たことありますか?

取組に勝って、懸賞金と一緒に「矢」を受け取っているのは、最後から3番目の取組の力士1人だけなんです。

実はそれ以外にも、渡されているのは矢だけでは無く「弦」(つる)を貰っている人がいるって気づいたことありましたか?

矢はテレビでも見えるので「あれは何だろう?」って思った人もいると思うのですが、「弦」はテレビでもほとんど見えることがないので、知らない人が結構多いんですよね!

では、どの力士が何を受け取っているのか?をご説明しますね。

【千秋楽最後の三番に勝った力士が受け取っているもの】

  • 後ろから3番目に勝った力士には「小結にかなう」として「矢」が与えられます。
  • 後ろから2番目に勝った力士には「関脇にかなう」として「弦」が与えられます。
  • 最後の結びに勝った力士には「大関にかなう」として「弓」が与えられます(※弓は実際には勝ち力士には渡されません)


↑ 実際に渡されている「矢」
(長さ:約107㎝)


↑ 実際に渡されている「弦」
(輪の直径:約12㎝)


↑ 勝ち力士に代わり「弓」を受け取り、弓取りを行う力士

 

現在は最後の力士に渡す「弓」は実際に勝ち力士に与えることを省いています。

最後だけは、勝った力士に代わって弓取りという儀式を行う力士が、弓を受け取り、土俵に上がり弓取り式を行います。

もし、誰かと一緒に千秋楽の相撲を見ている時に、「あれ?矢を貰ってるけど、あれは何?」って聞かれたら、「この次の取組に勝った人は弦を貰うよっ!」と、ドヤ顔で教えてあげてください。笑

スポンサードリンク

千秋楽の後ろ三番の取組を「これより三役」と言います。「三役」って何?

 

「これより三役」というのは、大相撲の千秋楽の最後の三番の取組のことを言います。

千秋楽だけは、後ろから四番目の取組が終わった後に、これから相撲を取る東方力士3人と、西方力士3人の力士がそれぞれ土俵に上がり、四股を踏む儀式を行います。

これを、これより三役による「三役揃い踏み」といいます。

力士は、いつか千秋楽にこの三役揃い踏みをやってみたい!という人は多いんですよ!

「三役揃い踏み」の所作はどのようにやるの?

まず、東方の力士3人が一緒に土俵に上がり、前に2人、後ろに1人、扇の形を取った三角形の位置に配して、四股を踏みます。

次に、西方の力士3人が一緒に土俵に上がり、今度は前に1人、後ろに2人、先ほどの扇の形をひっくり返したような位置に配して、四股を踏みます。

 

このように、3人一緒に土俵に上がって四股を踏む儀式を、「三役揃い踏み」と言うのです。

三役揃い踏みには、当然ながら横綱、大関が入っていることが多いですが、場所によっては、平幕力士でも優勝争いをしてる中に名を連ねていると、この最後の三番に取組が組まれることもあるんです。

そんな経験をした力士に話を聞くと、「揃い踏みするのが初めてで、その所作のことで頭がいっぱいで、相撲どころじゃなかったよ!」なんていう笑い話も。

なぜ三役に番付の一番上の「横綱」が入ってないの?

現在は番付の一番上の位は「横綱」ですが、かつては「大関」が最高位でした。

その大関の中で、特に強く、また力量、品格ともに抜群と認められた者に特別に与えられた称号が「横綱」でした。

番付の最高位は「大関」という、その歴史的な流れの名残から、三役というのは、横綱は入れず、「大関」「関脇」「小結」となっていると言われているんです。

スポンサードリンク

なぜ「矢」「弦」「弓」が与えられるの?

 

 

相撲の歴史は古いんです。

平安時代に行われていた宮中の行事に相撲節会(すまいのせちえ)というものがあって、そこで相撲を取って、勝った方の力士の陣営が、矢を背負って勝者の舞を行ったのが、相撲と矢との関係の始まりと言われています。

そこから、戦国時代に入っても、相撲の勝者には褒美として弓や扇が与えられたという記述もあり、そのような歴史的な儀式が現在でも残っているのではないかと言われています。

現在は、「矢」「弦」「弓」の3つが合わさって「一張の弓矢」が作られるという考え方から、本場所の千秋楽の取組の最後の3人の力士の勝者が、それぞれを受け取る形を取り、3つ合わさって出来上がった「弓」を使い儀式を行い、相撲を終えるという習わしなんでしょうね。

 

このあたりの歴史的な記述も色々とありむずかしいのですが、ざっくりとこんな感じ!って知っておいてくださいね。

スポンサードリンク

まとめ

 

千秋楽の最後の三番で勝った力士が受け取っているもの、わかっていただけましたか?

相撲はとても歴史が長い競技なので、このような儀式が現在も色々と残されているんですね!

これから相撲を見るときに、是非そのような側面も思い返しながらご覧になっていただけたらと思います!

スポンサードリンク