優勝40回を誇る横綱・白鵬。
朝青龍の引退後、一人横綱として相撲界を引っ張り、その後も数々の大記録を打ち立ててきました。
正攻法の相撲で、優等生のイメージだった白鵬でしたが、なぜ今、引退した方がいい!という批判を受けているのでしょうか?
白鵬が「もう引退するべき!」と言われてしまうのはナゼ?
なぜここまで白鵬が批判を受けてしまうことになったのか?
大きな原因は、3つあると思います。
【理由1】張り手、カチ上げ乱用の汚い立ち合いは見たくない!
【理由2】日馬富士暴行事件の時、現場に同席していた!
【理由3】土俵上での態度、待ったへの抗議やダメ押しなど!
張り手、カチ上げ乱用の立ち合いじゃないと勝てない!そんな汚い相撲は見たくないの声!
結論から言うと、白鵬の立ち合いの「張り手」と「カチ上げ」は、相撲では無く、格闘技の「掌底」と「エルボー」だと私は思っています。
この2つを組み合わせた立ち合いが問題だ!ということなのです。
本来、張り手もカチ上げも相撲の技として認められているもので、禁じ手ではありません。
この白鵬の立ち合いに対しては、ファンから批判の声が相撲協会に殺到していました。
そこでついに昨年12月に、横綱審議委員会から白鵬に、「見たくない、美しくない立ち合い」という異例の苦言が呈されました。
白鵬の張り手は相手の顔を張るというよりは、手首のスナップを使って相手の顔を叩き止める!という感じで、そこへもう一方の手のヒジが、カチ上げという形のエルボーで、相手の顎付近を目がけて打たれて来るのです。
これには相手はひとたまりもなく、過去にも何度もこの白鵬の立ち合いを食らって、脳震盪を起こし、その場で失神するという力士を見てきました。
顔を押さえたところへのヒジ打ちは、たまったものではありません。
そんな禁じ手スレスレの立ち合いを長年見てきたファンは、「あれは相撲じゃない!」と声を上げ、横綱審議委員会が動いたというわけです。
この苦言後、白鵬の立ち合いに注目が集まっていましたが、今年の1月場所では張り手、カチ上げの立ち合いを封印。
しかし、立ち合いのパワーダウンは目に見えてわかり、自分の相撲の流れに持ち込めず、両足親指の負傷も伴い、3日目から平幕に連敗、5日目から休場となってしまいました。
翌3月場所は全休し、5月場所は出場して来ましたが、再び張り手を交えた立ち合いも見られ、マスコミから、「横綱らしい立ち合いは?」との問いかけに対し、白鵬は「そんな余裕はありません。本当です」と答えています。
結果11勝4敗で場所を終え、全盛期の勢いは見られない感じでありました。
日馬富士暴行事件の時、現場にいて止められなかった?優等生のイメージの崩壊!
出典:毎日新聞
昨年11月場所中に露呈し世間を騒がせた、日馬富士の暴行事件。
10月の鳥取県での巡業の際、鳥取城北高校の関係者と酒席が設けられ、日馬富士、白鵬、鶴竜、照ノ富士、貴ノ岩らが同席。
その二次会の時に、貴ノ岩の言動に腹を立てた日馬富士が、貴ノ岩を殴打し怪我を負わせたというもの。
この事件で日馬富士は自ら責任をとる形で引退をしました。
被害者の貴ノ岩の証言から、もともと酒席で白鵬が貴ノ岩に説教をしていたことが事の発端であることがわかりました。
日馬富士が暴力を振るうのを、目の前で見ていて止められなかった責任を問われた白鵬には、今年1月の給与全額と2月の半額の給与の支給をしないという「報酬減額」の処分が協会から言い渡されました。
世間はこの結果を受けて、「処分は甘い」「軽すぎる」との声が多かったのが事実です。
この事件が、白鵬への印象を悪くしたことは否めないと思います。
土俵上での待った!の抗議、ダメ押しなど土俵態度への批判!
土俵態度でも白鵬はたびたび横綱の品格を問われてきました。
昨年11月場所の嘉風戦で立ち合いのタイミングをうまく図られ、待っただと思った白鵬は力を抜き、一気に押され土俵下へ。
立ち合いは成立していたと判断した行司が嘉風に勝ち名乗りを上げると、白鵬は、今自分は待ったをした!とジェスチャー交じりで土俵の下から動かずアピール。
渋々土俵に戻っても納得のいかない表情で、約1分間あまりに渡る猛抗議を続けました。
私も長い相撲の取材の中で、初めて見た異様な光景でした。
この場所は優勝を果たしたものの、千秋楽の土俵下での優勝インタビューの際、観客に異例の万歳三唱の呼びかけを行いました。
まだ、日馬富士暴行事件の渦中であった時の、自身も当事者でありながらのこの行為に「空気が読めていない」と批判の声も多く、場所後には注意も受けています。
また以前から、勝った瞬間に相手はすでに土俵の外に出ているのに、もうひと押しの「ダメ押し」をすることも多く、たびたび審判部から注意を受けていました。
このようなことから、白鵬に対する批判が徐々に高まってきて、もう引退した方がいいとまで言われているのだと思います。
白鵬は引退後、モンゴルへ帰国するのか?日本に残って親方をするのか?
現時点での白鵬の意志は、引退後は日本に残り相撲部屋を開いて、親方としてやっていく可能性が、ほぼ100%だと思われます。
【理由1】日本への帰化を反対していた父の死
【理由2】銀座にガラス張りの相撲部屋を作りたいとう構想発言!
日本に残り親方をやるには条件があり、「年寄株」という名跡を取得することが必要です。
この年寄株取得には幕内の在位場所数など細かい条件があり、誰でも取れるものでは無いのですが、何より、現在の相撲協会の規約では、「日本国籍を有する者」というのが、まずもって第一条件になります。
白鵬の日本帰化を反対していた父、ムンフバトさんの死
出典:日刊スポーツ
白鵬は現在モンゴル国籍ですので、日本への帰化手続きをして、日本国籍を取得しないと年寄株を手に入れることが出来ず、親方になることはできません。
白鵬の父ムンフバトさんは、今年の4月肝臓の病気で他界されました。
父は生前、白鵬が帰化することに反対していました。
ムンフバトさん自身がモンゴル代表のオリンピック選手であったこともあり、モンゴル人であるということに対する誇りが髙かったためと思われます。
白鵬は大のお父さんっ子でしたので、ずっとこの帰化問題には頭を悩ませていました。
今まで帰化に反対をしていた父の死により、白鵬が日本国籍を有することへの障害が無くなりました。
本当はモンゴル国籍のまま日本で親方をやることができないかと画策をしていた!?
ちょっとむずかしい話になりますが、親方になるための年寄株には「一代年寄」という、特例の名跡があります。
あまり世間には知られていない制度ですが、相撲界に多大な功績を残した力士にのみ与えられる年寄株のことです。
一代年寄を認められた力士は、他の年寄株を取得しなくても、現役力士の四股名のまま親方をすることが出来るのです。
過去にこの一代年寄を受けたのは、大鵬、北の湖、貴乃花の3人だけで、いずれも大横綱です。
過去の事例から考えて、白鵬はこの一代年寄を受けられる可能性が髙いのではないかと思っています。
白鵬自身もそれは考えていたと思うので、この「一代年寄という特別扱い」に対し、更に、国籍を変えなくても協会に残れるようにしてもらいたい!という希望を持っていたという情報もありました。
父の国籍変更の反対があったこともあり、その様に考えたのでしょうが、協会側の規約は絶対なので、そんな「特別処置」を認める考えは協会は今後も無いと言えるでしょう。
親方になったら銀座に相撲部屋を作りたい?
白鵬は以前、いずれ親方になって相撲部屋を作る時は、銀座に全面ガラス張りの相撲部屋にしたい!と言っていたことがありました。
これは…、白鵬のマスコミに向けたリップサービスだと思うので、そこまで真実味を帯びた話では無いと私は思うのですが…。
白鵬は銀座が好きだからかな?笑
まだ引退したくない!2020年東京オリンピックでの開会式で土俵入りをやりたいという野望!?
白鵬は2020年に開催される東京オリンピックまでは、現役横綱でいたい!ということに、強いこだわりを持っています。
【理由1】亡き父がレスリングのオリンピックメダリストだった
【理由2】2020年東京オリンピックで横綱土俵入りをやりたい!
尊敬している父が、レスリングで1964年の東京から5大会連続でオリンピック出場をしており、1968年のメキシコオリンピックでは、銀メダルを獲得。
これは、モンゴル人初のメダリストであったため、白鵬はオリンピク、そして、父が初めて出場した東京の大会ということに対する思い入れが強いのだと思います。
また、1998年の長野冬季オリンピックの時には、開会式のセレモニーで横綱・曙が横綱土俵入りを披露しました。
また、選手入場の時、世界各国のプラカードを持った先導役を力士が務めたりと、相撲が日本の象徴として演出されました。
そんなことから、自身も2020年の東京オリンピックで、横綱土俵入りをやりたい!という気持ちが大きいのだと思います。
オリンピックの演出は白鵬が決められることでは無いので、こればっかりはわかりませんが…。
今年春先に作った白鵬の浴衣地の模様に、五輪のマークが入っており、その本気さ加減がうかがえます。笑
好角家で有名な漫画家のやくみつるさんも、「白鵬は東京オリンピックまであと2年は、本場所を出場したり、休場したりしながら、ムリをせず延命をはかるんじゃないか?」などと話していました。
このようなことから、白鵬本人の気持ちとしては、オリンピックまでは現役を続け引退したくない!という意志が強いと思います。
まとめ
白鵬が歴代1位の優勝回数を誇る大横綱であるということは、誰もが認めるところです。
だからこそ、立ち合いから正攻法の美しい相撲で圧倒する強さを見せて欲しいと思うのです。
白鵬への数々の批判を、外国人力士への差別だととらえる人も、中にはいるようですが、それは違うと思います。
長く相撲を愛してきたファンにとっては、相撲の形が壊れ、伝統美、様式美が失われていくのはとても悲しいことなのです。
相撲はただ勝てばいいという単なるスポーツではありません。
白鵬の強さを認めるがゆえの、この周囲からの批判を受け止め、まだまだこれからも、第一人者として相撲界を引っ張っていって欲しいものです!