無敵を誇っていた横綱・白鵬が、平成30年に入り相次ぐ怪我に苦しめられています。
平成29年11月場所で史上最多となる40回目の優勝を飾り、まだまだ白鵬の時代は続くと思われていた矢先の失速。
足の怪我の具合はどうなのでしょうか?
また、怪我が急に多くなってきてしまった理由は何なのでしょうか?
白鵬の怪我の箇所と状態は?
出典:毎日新聞社
白鵬は40回目の優勝を決めた以降、相次ぐ足の怪我に苦しめられています。
平成30年に入ってからは4場所中3場所で休場、出場した5月も11勝と成績は奮いませんでした。
今、白鵬に何が起きているのでしょうか?
怪我の状況はどうなのでしょうか?
平成30年1月、3月、両足親指の怪我で休場!
出典:日本経済新聞
白鵬は平成30年1月場所4日目の嘉風戦で、左足親指を痛め途中休場をしました。
当然ながら力士は裸足で相撲を取りますので足の指の怪我は少なくは無いのですが、どのような怪我だったのかと言うと、足の親指が土俵にのめり込んだというか、指を足裏側に巻いて土俵に突っ込んでしまったんですね。
下半身の動きがいつも安定している白鵬にしては、珍しく焦りを感じるバタついた動きの中での怪我でした。
休場の診断書は「左母趾MP関節靭帯損傷(ひだりぼしMPかんせつじんたいそんしょう)」「右母趾末節骨骨挫傷(みぎぼしまっせつこつこつざしょう)」というものでした。
母趾MP関節というのは、いわゆる親指の付け根と感じる部分の関節のことですね。
提出された診断書は右足の親指の受傷も書かれていましたが、場所中に受傷した左足親指以外に、場所初日の朝稽古の時にも右足の親指を痛めていたのでした。
力士は相撲を取る時、親指で土俵を掴むようにして動くので、両足の親指の負傷は相撲を取る上で、想像以上にダメージは大きかったのだと思います。
1月は途中休場で2勝3敗10休の成績で終え、翌3月場所は全休となりました。
受傷して半年が経ち、両足親指の怪我はほぼ回復の状況にあるようですが、足の親指というのは相撲を取る上で土俵の砂を噛み、下半身を安定させて動き回るためにとても重要な役目をするところなのです。
一度痛めるとクセになりやすい箇所でもあるので、今後も心配の種ではあるのですが…。
平成30年7月、右膝の怪我で休場!手術も視野に?
出典:報知新聞
白鵬は7月場所中に、まさかの出来事で怪我を負ってしまいました!
2日目の正代戦の前に、仕度部屋で準備をしている時に足を滑らせ、右膝を捻り負傷してしまったのです。
当日は取組に臨みましたが、3日目から急に痛みが強くなり氷で冷やし痛み止めを飲んでも痛みが収まらなかったため、4日目から休場することになりました。
提出された診断書は「右膝蓋腱損傷(みぎひざがいけんそんしょう)」「右脛骨結節剥離骨折(みぎけいこつけっせつはくりこっせつ)」と書かれていました。
上の図は膝頭を右にして横から見たものです。
見ていただければわかるように、右膝蓋腱というのは太い筋では無いのですが、膝頭と脛をつないでいる箇所で、そこを損傷しその腱をつないでいる骨にもヒビが入ったということだったんですね。
まさかの土俵外での怪我に、驚きました。
休場した場所後の夏巡業には初日から参加していましたが、稽古や取組には参加しておらず、四股やすり足などの基本運動のみでした。
しかし、「右膝にはずっと違和感がある。今の治療が合っているのか、最新の治療にするか、手術するかもしれない」と、巡業11日目に右膝の痛みを訴えて巡業を途中離脱し、患部の状態を確認するため病院に向かいました。
7月に受傷してからずっと痛みが引かず、痛み止めを服用し続けていたことで、「靭帯の柔軟性が無くなっている。稽古するともっと悪くなる」といった状態であったことを明かしました。
病院で検査を受けた結果、当面は手術は回避し投薬で様子を見ることとなり、再び巡業には合流したのですが、「爆弾を抱えているのは間違いない」といった状況にあるのです。
白鵬の怪我が多くなった理由は張り手、かちあげの封印も原因?
出典:共同通信社
白鵬が怪我が多くなり相撲内容が崩れてきた理由は何なのでしょうか?
理由は大きく2つあると思われます。
- 立ち合いで張り手、かちあげが使えなくなったこと
- 長年に渡る体の酷使から来る、筋肉の衰え
白鵬の強さの理由を分析するなら、体格、稽古、メンタル、どんな部分を取ってもあらゆる点で秀でている所が多いのは当然なのですが、何より、「今まで怪我が少なかった」という点が、やはり一番の強みだったのではないでしょうか?
「怪我をしにくい」ということも、日頃の鍛錬の賜物ですから、実力の一部でもあると思います。
白鵬は、稽古前には四股やすり足、テッポウなど基本運動にかける時間は他の力士よりとても長いんですね。
しかし平成30年に入り、足の怪我が多くなってきたことが気になりますね。
理由の1つ目として、「立ち合いの変更を余儀なくされたこと」ということがあると思うのです。
出典:サンケイスポーツ
平成29年末に、白鵬の立ち合いに対して横綱審議委員会から苦言が呈されたのですね。
白鵬は今まで、立ち合いで「張り手」「かちあげ」をとても多く使っていました。
張り手とかちあげ自体は、相撲の禁じ手な訳では無いのですが、白鵬が立ち合いで使っていた張り手とかちあげは、「掌底」と「エルボー」と言われても仕方ないような、かなり荒々しいものになっていたんですね。
「あの立ち合いは相撲じゃない!」「あんな汚い立ち合いは見たくない!」というファンからの声が相撲協会に多く集まるようになり、横綱審議委員会からの苦言になった訳です。
怪我の事と立ち合い…、何の関係があるのか?と思われる方もいるかもしれませんが、実は大いに関係があるんですね。
白鵬はその乱暴ともとれる立ち合いで、一方的に前に攻め勝負を決めてしまう相撲が取れることが今までの強みになっていたんですね。
白鵬の天性の足腰の良さや低さというのがあることも、もちろんなのですが…。
相撲というのは、前に攻めている時は比較的怪我をしにくいもののようなのです。
これはどの力士に聞いても一応にそのような答えが返ってくるので、きっとそうなのだと思うのです。
やはり守勢になった時の方が怪我はしやすいと言われています。
横綱審議委員会から立ち合いの苦言を受け、翌場所の1月から白鵬は立ち合いに張り手とかちあげを封印しようと心がけている様子がわかりました。
しかし、その立ち合いのパワーダウンは明らかでした。
今までのように一方的に攻め込める相撲が減り、攻めや守りの応酬、または逆に攻め込まれての逆転勝ちなどが多く見られるようになってきたんですね。
下がれば慌てて前に出ようとする。
土俵内でのバタつきが多くなり、思わぬ土俵に指を取られる怪我に結びついたのではないかと思われます。
立ち合いの迷いもあり、土俵内で早く勝負をつけようと焦っている様子も感じられるようになりました。
横綱審議委員会からの立ち合いに対する苦言以来、白鵬の相撲は立ち合いを含め、かなり迷いが生じているなと感じます。
理由の2つ目として、「長年に渡る肉体の酷使による筋肉の衰え」が出てきていると思うのです。
出典:日刊スポーツ
白鵬は今年で33才になりました。
白鵬ではなくても、力士は30才を超えてくるとやはり筋肉に衰えを感じ始めると言います。
「疲れも抜けにくくなるし、怪我も治りにくくなるね…」という力士の話しはたくさん聞きますね。
白鵬は、筋肉が柔らかく、しかも準備運動や体のケア―なども入念に行う力士ですから、今まであまり大きな怪我をすることなくやってこれたのだと思います。
しかし、33才となると普通の力士でも体に疲れを感じ始める時期ですが、白鵬は平成19年7月に横綱に昇進して以来、11年に渡り角界の第一人者として相撲界を引っ張り、数々の記録も打ち立ててきました。
その心身の蓄積疲労たるや、計り知れないものだと思うのです。
その疲労も今、出始めているのではないかと思われます。
右膝の怪我は不慮の負傷でしたが、当初思っていた以上に症状が長引いていて、未だに痛みがあるというのも心配ですね。
怪我の後は立ち合いで再び張り手を見せ始めているくらい、やはり今の白鵬にとっては、立ち合いの変更は自分の相撲を取っていく上で大きな誤算だったのだと思います。
怪我を抱えた状態でますます不安もつのる中、今までの立ち合いが出来ないことで後ろに下がる相撲内容が増えると、怪我の悪化に結びつかないか?白鵬自身が一番危惧しているところだと思います。
まとめ
白鵬は現在、度重なり足に負った怪我と、立ち合いの変更により生じている迷いの相撲から不安な土俵が続いています。
しかし何と言っても、多くの経験を積んできた第一人者ですから、現状を乗り越える術は必ず持っていると思います。
この危機を乗り越えて、また強い白鵬の姿を見せてもらいたいですね!