大相撲の横綱として一世を風靡した北の湖、千代の富士、輪島…。
それぞれの時代を彩った大横綱たちが次々とこの世を去っています。
皆それぞれが自分の思い出の横綱を持っているのではないかと思うほど、横綱の存在感は偉大ですね。
しかし、横綱は世を去るのが早いような気がしてなりません。
そこで今回は歴代の横綱の寿命を調べ、その平均寿命が短命であるか否かを検証してみたいと思います。
横綱(明治生まれ以降)の平均寿命は短命なのか?歴代横綱没年令一覧
出典:朝日新聞社
大相撲の歴史上、最高位である横綱は初代の明石志賀之助から72代の稀勢の里まで、72人しか存在していません。
今回の横綱の平均寿命の検証は、明治生まれ以降の横綱を対象にしてみたいと思います。(18代大砲以降)
まずは、各横綱の亡くなった年令の一覧をご覧下さい。
【歴代横綱(明治生まれ以降)と没年令】
- 18代 大 砲 48才
- 19代 常陸山 48才
- 20代 梅ケ谷 49才
- 21代 若 島 69才
- 22代 太刀山 63才
- 23代 大木戸 54才
- 24代 鳳 69才
- 25代 西ノ海 50才
- 26代 小 錦 49才
- 27代 栃木山 67才
- 28代 大 錦 60才
- 29代 宮城山 48才
- 30代 西ノ海 42才
- 31代 常ノ花 64才
- 32代 玉 錦 34才(現役没)
- 33代 武蔵山 59才
- 34代 男女ノ川 67才
- 35代 双葉山 56才
- 36代 羽黒山 54才
- 37代 安藝ノ海 64才
- 38代 照 國 58才
- 39代 前田山 57才
- 40代 東富士 51才
- 41代 千代ノ山 51才
- 42代 鏡 里 80才
- 43代 吉葉山 57才
- 44代 栃 錦 64才
- 45代 若乃花 82才
- 46代 朝 潮 58才
- 47代 柏 戸 57才
- 48代 大 鵬 72才
- 50代 佐田の山 79才
- 51代 玉の海 27才(現役没)
- 53代 琴 櫻 66才
- 54代 輪 島 70才
- 55代 北の湖 62才
- 58代 千代の富士 61才
- 59代 隆の里 59才
(平成30年10月現在)
亡くなった年令を見ていただければわかるように、やはりその若さが目立ちますよね。
現在まで18代横綱の大砲から数えて亡くなった横綱は38人います。
この38人の平均寿命を計算すると、58,6才ということになります。
この38人の中には現役横綱時代に病死した、32代玉錦(34才没)と51代玉の海(27才没)が含まれるので、この2人をはずして計算しても、その平均寿命は60,1才と、大きく違いはありません。
明治、大正期の食糧事情や衛生、医療面を考えると、この時期は日本人全体がまだそれほど平均寿命が長かった時期では無いので、一応、昭和期に入ってからの検証もしてみました。
「初土俵が昭和」に入ってからの力士、35代双葉山から21人で計算すると平均は61,2才。
さらに「昭和生まれ」の45代若乃花から、11人で計算すると平均は63才でした。
38人の中で40代以下で亡くなっている人が8人、50代が13人、60代が12人、70代が3人、80代が2人と、この没年令分布を見ても50代が一番多いということがわかりますね。
やはり一般的な男性の平均寿命と比較しても短命なのではないかと思われます。
皆さんの記憶に新しい横綱だと、北の湖は62才ですし、ウルフフィーバーを巻き起こした千代の富士も61才と、近年の発達した医療状況の中においても、やはり本当に若くして亡くなっていると思います。
大相撲力士 横綱の寿命が短命である理由は?
出典:日刊スポーツ
力士は若い時から体重を増やすために、かなりハイカロリーな食生活を続けています。
また付き合いなども多く、お酒を飲む機会や量も多いです。
激しい稽古も続けるので、体の酷使も相当に厳しいです。
そんな食生活や体へのダメージなどで、現役中から高血圧、高脂血症(高コレステロール)、糖尿病、また、太ることによって気道が圧迫されることにより起こる睡眠時無呼吸症候群などを患っている力士はとても多いです。
現役中はそれでも運動量が多いので、若さもあり何とかやっていけても、現役引退後は減量や食生活に気をつける人が増えてきましたが、やはり今までの食事習慣がなかなか変えられず、30代半ばの年令から、上記の様な生活習慣病を抱えてしまっている人が多いということなんですね。
若い時からの過度な飲酒は肝臓や膵臓を痛めますし、過体重は脳や心臓の血管にも負担をかけてしまいます。
もうひとつ食生活以外の部分だと、横綱という地位は精神的にもとてもストレスのかかるものだと思われるのです。
横綱である以上、勝って当たり前、負けが続けば即引退につながるという、神経をすり減らす日々が続きます。
生活の面でも、すべての力士の手本となるべく「横綱の品格」を求められます。
横綱の地位を務めるということは、想像以上に負担がかかるものなのではないかなと思うのです。
そんな心身両面からの負担が、40代~50代に一気に発病、もしくは命を落とすことになっているのではないでしょうか?
今回は、横綱のみで検証をしましたが、大関の貴ノ花も55才で、同じく大関の貴ノ浪も43才、北天佑も45才という若さで亡くなっているので、横綱に限らず、力士は短命の傾向があるのかもしれません。
ヒーローだった横綱たちの早すぎる死の話しをしていると、少し寂しくなってしまいますね。
未だお元気でご活躍中のシニア世代の横綱もご紹介したいと思います!
出典:毎日新聞社
平成30年現在、存命中の歴代横綱の中で最も古い代の横綱は、49代栃ノ海で今年80才を迎えています!(昭和13年生まれ)
春日野部屋の先代師匠であった栃ノ海(花田茂広氏)は、栃ノ心が新大関に昇進した際も、伝達式に駆けつけて涙を流して喜んでいました。
まだまだ後輩力士の活躍を見守っていって欲しいですね!
また、2番目に古い代の横綱は、NHKの相撲専属解説者としてもおなじみの52代北の富士さんで、今年76才です。(昭和17年生まれ)
北の富士さんは現在もダンディな容姿は変わりなく、笑いを交えた軽妙な解説ぶりでとても人気がありますね!
しかし、数年前には心臓の手術を受けられたりもしていたので、お体には気をつけていただきながら、これからも元気な姿を相撲ファンに見せていって欲しいです!
まとめ
力士は稽古と同じくらい、体を大きくしていくということが大事なことなのですが、やはりそのため体にかかる負担は計り知れないのですね。
ファンにたくさんの夢や希望を与えてくれた横綱には、現役を引退した後は、減量や食生活の見直しなどで体をいたわっていただき、どうか健康で長生きしていってもらいたいと思います!